トップページ > セミナー開催情報 > 第14回研究所セミナー

日時

2014年12月8日(月曜日)17時~18時

場所

研究所A・B会議室(国府台中継)

講師

田中 啓二 先生(東京都医学総合研究所)

演題

私のプロテアソーム研究~成功と失敗のエピソード~

講演要旨

生体を構成する主要成分であり生命現象を支える機能素子であるタンパク質は、恒常的にリサイクルして細胞内を浄化し、新鮮さを保つことによって健康を維持している。実際、細胞内の全てのタンパク質は、千差万別の寿命をもってダイナミックに代謝回転しており、生物はこの動的平衡を通して良・不良を問わず不要なタンパク質をクリアランスするとともに、エントロピーの増大(秩序から無秩序への劣化)をくい止め生体の恒常性維持を図っている。

この新陳代謝の中心はタンパク質分解が担っているが、高齢化社会を迎えた今日、タンパク質分解の破綻を主因として発症する疾病が急増しており、タンパク質分解の生理と病態に関する研究の重要性は、拡大の一途を辿っている。

さて真核生物の細胞内には二つの大規模なタンパク質分解系、即ちユビキチン・プロテアソームシステムとオートファジー・リソソームシステムが存在する。私は約30年前にタンパク質分解の目印(プロテアソームへの輸送シグナル)として作用するユビキチンが発見された頃(2004年ノーベル賞)から、そのパートナーであるタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)の研究を開始し、プロテアソームと名付けた巨大で複雑なタンパク質分解装置を発見、今日まで一貫してその構造と機能から生理・病態に至る多面的な研究に邁進してきた。研究の流れを私的に辿ると、偶然による成功と必然的な失敗の連続であった。

本講演では、研究の全容に言及することはできないが、長年に亘り継続して進めてきた私のプロテアソーム研究史を幸運と不運に翻弄されてきた逸話としてオーバービューしたい。

代表論文

  1. Koyano F, Okatsu K, Kosako H, Tamura Y, Go E, Kimura M, Kimura Y, Tsuchiya H, Yoshihara H, Hirokawa T, Endo T, Fon EA, Trempe JF, Saeki Y, Tanaka K, Matsuda N.
    Ubiquitin is phosphorylated by PINK1 to activate parkin.
    Nature 510, 162-166, 2014.
  2. Pack CG, Yukii H, Toh-e A, Kudo T, Tsuchiya H, Kaiho A, Sakata E, Murata S, Yokosawa H, Sako Y, Baumeister W, Tanaka K, Saeki Y.
    Quantitative live-cell imaging reveals molecular dynamics and cytoplasmic assembly of the 26S proteasome.
    Nat Commun. 2014, doi:10.1038/ncomm4396.
  3. Saeki Y, Toh-E A, Kudo T, Kawamura H, Tanaka K.
    Multiple proteasome-interacting proteins assist the assembly of the yeast 19S regulatory particle.
    Cell 137, 900-913, 2009.
  4. Murata S, Sasaki K, Kishimoto T, Niwa S, Hayashi H, Takahama Y, Tanaka K.
    Regulation of CD8+ T cell development by thymus-specific proteasomes.
    Science 316, 1349-1353, 2007.
  5. Komatsu M, Waguri S, Koike M, Sou YS, Ueno T, Hara T, Mizushima N, Iwata J, Ezaki J, Murata S, Hamazaki J, Nishito Y, Iemura S, Natsume T, Yanagawa T, Uwayama J, Warabi E, Yoshida H, Ishii T, Kobayashi A, Yamamoto M, Yue Z, Uchiyama Y, Kominami E, Tanaka K.
    Homeostatic levels of p62 control cytoplasmic inclusion body formation in autophagy-deficient mice.
    Cell 131, 1149-1163, 2007.

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主催・連絡先

国立国際医療研究センター研究所長:清水 孝雄

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