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糖尿病網膜症検査の実施割合向上には、内科と眼科との連携が課題

2023年5月26日
国立国際医療研究センター
東京大学医学部附属病院
虎の門病院

発表のポイント

本研究の概要・意義

国立国際医療研究センター研究所糖尿病情報センターの井花庸子医師、杉山雄大室長、東京大学大学院医学系研究科 代謝・栄養病態学の山内敏正教授、虎の門病院の門脇孝院長ら共同研究チームは、NDBを用いて、2017年度に糖尿病薬の定期処方を受けている外来患者の眼科受診割合と眼底検査の実施割合を算出し、糖尿病網膜症のスクリーニング実施のプロセスのうち具体的に何処に課題があるのか分析を行いました(図)。また、都道府県別、日本糖尿病学会認定教育施設としての認定有無別の割合も計算しました。

研究の結果、約441万人の当該患者において、2017年度に眼科受診があったのは47.4%(都道府県別範囲:38.5%–51.0%)、そのうち眼底検査を実施したのは96.9%(都道府県別範囲:92.1%–98.7%)でした。性別・年齢・インスリン使用・糖尿病認定教育施設の有無・病床数で調整した多変量解析では、女性・高齢者・インスリン使用者、及び糖尿病認定教育施設・病床数の多い医療機関で糖尿病薬を処方されている患者での眼底検査実施割合が高いことがわかりました。

20230526_01.png図:糖尿病患者が眼底検査実施に至るプロセス

今回の結果を受けて、一度でも眼科受診をした患者での眼底実施割合は高値であるものの、そもそも眼科の受診割合が低いことが課題であることがわかりました。内科の医師から眼科受診の推奨が適切にできていない可能性のほか、推奨をされても患者が受診していない可能性もあります。糖尿病網膜症スクリーニングの実施割合向上として、眼科受診の必要性についての更なる周知や推奨を行い、糖尿病薬を処方している内科と眼科との連携強化が重要であることが明らかになりました。

本研究では、糖尿病の患者を定期的な糖尿病薬の処方で定義しているため、食事・運動療法のみで治療を行っている方における実施割合は調べることができていません。また、保険診療における眼科受診・眼底検査の実施割合を解析しており、健診における無散瞳カメラや自費診療での眼底検査については今回の解析に含めることはできていません。

今後の展望

研究グループでは、今後も定期的に糖尿病診療の質指標を測定すると共に、診療の質向上につながる具体的な解決策に繋がりうる分析を行なっていく予定です。また、合わせて適切な医療政策の立案に役立つ情報を提供していきます。

お問い合わせ先

・研究に関する問い合わせ先
国立国際医療研究センター 研究所 糖尿病情報センター 医療政策研究室長
筑波大学 医学医療系 ヘルスサービスリサーチ分野 教授
杉山 雄大(すぎやま たけひろ)
電話:03-3202-7181
FAX:03-3207-1038

・取材に関する問い合わせ先
国立研究開発法人 国立国際医療研究センター(NCGM)
国立国際医療研究センター 広報企画室
電話:03-3202-7181
E-mail:press(a)hosp.ncgm.go.jp
※(a)を@に変換してください。

詳細は以下のファイルをご覧ください。
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