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シスチノーシスとは?
シスチノーシス(英語ではcystinosis)は、腎臓、眼の角膜、甲状腺、膵臓など全身のさまざまな臓器の細胞にシスチンが蓄積する病気です。
乳児期に腎臓の症状(尿蛋白、尿糖、アミノ酸尿などが生じるるファンコーニ症候群)、体重増加不良、多飲多尿、吐き気、嘔吐や口渇(口がかわく)などがあらわれます。
シスチノーシスは3つの病型に分けられます。
- 腎障害型:生後6ヶ月頃からファンコーニ症候群、体重増加不良、筋緊張低下、くる病、多飲多尿を発症します。2歳頃までシスチン結晶が眼球角膜に沈着して、痛みや羞明(まぶしさ)があります。治療しないと10歳頃までに腎不全になります。
- 中間型:発症年齢が10代と遅いことを除き、腎障害型と同じ症状です。治療しないと10代後半から20台半ばで腎不全になります。
- 非腎型:腎障害は伴わず、角膜のシスチン結晶による羞明のみです。
シスチノーシスの原因は?
シスチノーシスは、シスチンを排出する輸送体のシスチノシンの遺伝子(CTNS遺伝子)がうまく働かなくなることが原因です。CTNS遺伝子が変化するとシスチノシンがシスチンをライソゾームから排出することができなくなり、全身の臓器の細胞に蓄積します。
シスチノーシスの患者さんはどれくらいいますか?
日本における正確な発症頻度は検討されていません。過去には少なくても20数名のシスチノーシス疑いの方が報告されていました。2018年5月時点では10数名のシスチノーシスの方がいらっしゃいます。
欧米の発症頻度は約10万から20万人に一人です。発症頻度が高い地域では、フランスのブルターニュ地域で26000人に一人、カナダのケベック地域では62500人に一人と言われています。
どのような症状があらわれますか?
シスチノーシスは治療していない場合には、年齢ごとにあらわれやすい臓器の症状があります。
どうやって検査や診断をするのですか?
あらわれている症状の組み合わせから、シスチノーシスを疑います。
シスチノーシスの診断基準は、以下のいずれかひとつの所見がある場合です。
- 細隙灯顕微鏡(スリットランプ)検査による角膜のシスチン結晶の同定
- 多核白血球中のシスチン量の増加
- 遺伝子検査
どのような治療がありますか?
シスチン除去薬(シスタゴン)であるシステアミンの内服があります。診断後できるだけ早くにシステアミンを内服することで、症状の進行を遅らせることができます。本邦では2014年に承認されました(ニシスタゴンR, マイラン製薬)。
角膜に蓄積したシスチン結晶はシステアミン内服では効果がありません。システアミン点眼薬が必要です。本邦では承認されていませんので、2017年10月に、先天代謝異常学会と家族会から要望書を厚生労働省へ提出しました。
遺伝形式はどうですか?
遺伝形式は常染色体劣性遺伝形式です。お父さんとお母さんがCTNS遺伝子の変異を一つづつ持っています。両親は保因者であるためシスチノーシスの症状はありません。
お役立ち情報
関連資料・リンク先
- 厚生労働省難治性疾患政策研究事業 ライソゾーム病(ファブリー病を含む)に関する研究班「シスチノーシス(シスチン蓄積症)診断ガイドライン」
http://www.japan-lsd-mhlw.jp/doc/cystinnosis_practice-guideline_2018.pdf - 小児慢性特定疾病情報センターHP
https://www.shouman.jp/disease/details/08_06_099/ - GeneReviews日本語版(>シスチノーシス(シスチン症))
http://grj.umin.jp/grj/ctns.htm - GeneReviews(オリジナル版 英語)(>Cystinosis)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1400/ - UCSD Cystine Determination Laboratory(英語)
http://metabolab.org/cystinosis/
アメリカのシスチノーシス白血球検査実施施設。疾患概要、治療法および検査法等が記載されている。NCGM研究所で作成した白血球分離プロトコールはこの機関で公開されているプロトコールを参考に一部改良している。 - Cystinosis Research Netowrk(英語)
https://cystinosis.org
シスチノーシスに関する患者の支援、医学的コミュニティの教育および研究支援を行う非営利団体。疾患概要、治療法、家族支援、研究費助成、国際会議等が記載されている。 - Cystinosis Foundation(英語)
http://www.cystinosisfoundation.org
シスチノーシス財団、患者、家族、医療従事者、研究者を幅広くサポート。シスチノーシスに関する研究費の助成も行っている。
シスチノーシス診断支援・相談に関する情報
- 診断、治療法など全般に関する問い合わせ先
国立国際医療研究センター病院腎臓内科 片桐大輔
(TEL:03-3202-7181(代)、e-mail :dkatagiri@hosp.ncgm.go.jp) - 白血球シスチン検査実施施設
国立国際医療研究センター研究所 岡村匡史
(TEL:03-3202-7181(代)、e-mail :okamurat@ri.ncgm.go.jp)
白血球分離試薬等を送付しますので、事前に問い合わせてください。
- 日本先天代謝異常症学会 精密検査施設一覧 ライソゾーム病
http://jsimd.net/iof/iof_01.html
- CTNS遺伝子検査実施施設
- 国立国際医療研究センター研究所 岡村匡史
(TEL:03-3202-7181(代)、e-mail :okamurat@ri.ncgm.go.jp)
DNA抽出キット等を送付しますので、事前に問い合わせてください。 - 小児腎臓学会 小児腎臓病の特殊検査協力施設一覧
http://www.jspn.jp/pdf/tokushu_180312.pdf
- 既知の遺伝子変異が見つからず、診断がつかない場合
小児希少・未診断疾患イニシアチブ(IRUD-P)http://nrichd.ncchd.go.jp/irud-p
国立成育医療研究センター IRUD-P事務局e-mail : IRUD-P@ncchd.go.jp
電話 : 03-5494-8137 FAX : 03-5494-7232 - シスチノーシス患者会の情報
シスチノーシス患者と家族の会
事務局代行 国立国際医療研究センター研究所内 清水有紀子
(TEL:03-3202-7181(代)、e-mail :cystinosis.jpn@gmail.com)
家族会へリンク
シスチノーシス患者と家族の会
https://ae2dx5dg.wixsite.com/japan-cystinosis