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A型およびB型インフルエンザウイルスのNA蛋白質に交差反応する中和ヒトモノクローナル抗体の性状解析
2022年11月11日
東京大学医科学研究所
国立国際医療研究センター
1. 発表者:
河岡 義裕(東京大学医科学研究所 ウイルス感染部門 特任教授
国立国際医療研究センター 研究所 国際ウイルス感染症研究センター長)
2. 発表のポイント :
- A型およびB型インフルエンザウイルスのNA蛋白質を広く認識し、中和活性を示すヒトモノクローナル抗体(抗体名:3E17)を樹立した。
- 3E17抗体はNA蛋白質の酵素活性部位の高度に保存されたアミノ酸を認識しており、本抗体から逃れるエスケープ変異ウイルスの増殖性は著しく低下していた。
- 本抗体のエピトープはユニバーサルワクチンのターゲットとして適していることが示唆された。
3.発表概要
今後起こる可能性があるインフルエンザウイルスによるパンデミックに対して、幅広いインフルエンザウイルスに対して予防効果を発揮するワクチンの開発が求められています。これまでインフルエンザワクチンや治療用抗体の開発は、ウイルス膜表面に存在するヘマグルチニン(HA)蛋白質を標的として行われてきました。一方で、もう一つの主要な膜蛋白質であるノイラミニダーゼ(NA)蛋白質を標的としたワクチンの開発は進んでおらず、広範な反応性を持つ抗NA抗体についてもあまり研究されていませんでした。
本研究では、A型およびB型インフルエンザウイルスのNA蛋白質に交叉反応するヒトモノクローナル抗体(抗体名:3E17)を樹立し、その性状を解析しました。本抗体はNA蛋白質の酵素活性部位に直接作用し、培養細胞およびマウスにおいて幅広い亜型のインフルエンザウイルスの感染に対して防御効果を発揮しました。また、3E17抗体はNA蛋白質の酵素活性部位の高度に保存されたアミノ酸を認識しており、本抗体から逃れるエスケープ変異ウイルスの増殖性は著しく低下してました。これらの結果から、本抗体のエピトープはユニバーサルワクチンのターゲットとして適していることが示唆されました。
- 詳細は以下のファイルをご覧ください。
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