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全ゲノム解析により結核における宿主と病原体の遺伝学的相互作用点が明らかに

2023年2月15日
国立研究開発法人
国立国際医療研究センター

1. 発表者:

徳永 勝士(国立国際医療研究センター 研究所ゲノム医科学プロジェクト(戸山)プロジェクト長)

大前 陽輔(国立国際医療研究センター 研究所ゲノム医科学プロジェクト(戸山)上級研究員)

2. 研究の概要 :

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 研究所ゲノム医科学プロジェクト(戸山)の徳永 勝士 プロジェクト長、大前 陽輔 上級研究員らはロンドン大学衛生熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical Medicine)の Taane Clark 教授、Jody Phelan 博士らと共同で、「全ゲノム解析により結核における宿主と病原体の遺伝学的相互作用点が明らかに」を英国科学雑誌「Nature Communications」に発表しました。

本研究では、世界三大感染症のひとつである結核について国際的な共同研究により、宿主である結核患者のヒト全ゲノム情報と病原体である結核菌の全ゲノム情報の両方を用いたゲノムワイド関連解析(注1)を、タイ人結核コホート(注2)において世界で初めて実施しました。結核菌の全ゲノム情報をもとに結核菌の系統樹解析(注3)に基づく分類を行ったうえでゲノムワイド関連解析を行った結果、過去に結核発症との関連が報告されていた FSTL5 遺伝子領域に加え、インターフェロンγによる宿主免疫防御に関わる DAP 遺伝子領域や RIMS3 遺伝子領 域など、新たな 8 つの疾患関連遺伝子領域の同定に成功しました。これらの関連が見出された宿主ゲノム中の遺伝要因は、特定の病原体群との相互作用により結核の病態に関与している可能性が示唆されました。今回の宿主と病原体双方のゲノム解析手法をより大規模で世界的に適用することで、詳細な結核発症機序の解明と疾患の発症予防につなげることが期待されます。

この研究成果は、2023 年 2 月 1 日に、英国科学雑誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。

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