ホーム > トピック・関連情報 > プレスリリース > 造血幹細胞活性を制御する新規分子の同定に成功、造血幹細胞移植や再生医療に新たな知見
造血幹細胞活性を制御する新規分子の同定に成功、造血幹細胞移植や再生医療に新たな知見
2023年8月8日
東京女子医科大学
国立国際医療研究センター
シンガポール国立大学
椙山女学園大学
1. 発表者:
本田 浩章(東京女子医科大学実験動物研究所所長 教授)
田久保 圭誉( 国立国際医療研究センター 研究所 生体恒常プロジェクト長)
須田 年生(シンガポール大学 教授)
本山 昇(椙山女学園大学 教授)
2. 発表のポイント:
- 造血幹細胞は自己複製を行うと共に血液の様々な系統に分化し、生涯にわたって造血系を維持します。造血幹細胞活性がどの様な機序により制御されているかについて、これまで様々な研究が行われてきましたが、その全貌は明らかではありません。
- 我々は以前に、造血幹細胞で高い発現を認めるエピジェネティック因子であるMBTD1/HEMP(mbt domain containing 1/hematopoietic expressed mammalian polycomb)を先天性に欠失したマウスを作製し、MBTD1は胎生期の造血幹細胞活性に重要な役割を果たしていることを見出しました(Honda H et al., Proc Natl Acad Sci USA 108, 2468-2473, 2011)。しかし、このマウスはKlippel-Feil症候群に類似した骨形成不全により生後すぐに死亡するため、成体の造血幹細胞におけるMBTD1の機能は明らかではありませんでした。
- 今回我々は成体で誘導可能にMBTD1を欠失したマウスを作製しました。造血系の解析により、MBTD1は転写因子FOXO3aを介して細胞周期を調節すると共に、様々な分子との相互作用によりエネルギー代謝を調節することにより、造血幹細胞活性を制御していることを見出しました。我々の研究結果は、造血幹細胞活性の制御機構に新たな知見をもたらしたと考えられます。
- 詳細は以下のファイルをご覧ください。
リリース文書