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加齢造血幹細胞にそなわる代謝の柔軟性を発見 ―ミトコンドリアの機能向上が生き残りに必要―
2024年5月27日
東北大学
国立国際医療研究センター
1. 発表者
田久保 圭誉(国立国際医療研究センター 研究所 生体恒常性プロジェクト プロジェクト長)
2. 発表のポイント
- 栄養やサイトカイン(注1)の欠乏下に置かれた高齢マウスの造血幹細胞(注2)は、若いマウスの造血幹細胞よりも生存しやすいことを明らかにしました。
- ミトコンドリア(注3)のタンパク質SDHAF1(注4)がATP(注5)産生の促進を介して加齢造血幹細胞の(生体内の)生理的な環境下での生存優位性に寄与することを解明しました。
- 幹細胞の加齢過程の一端が明らかとなり、加齢に関連した血液の機能の低下や白血病の発症のしやすさの原因究明に貢献できることが期待される成果です。
3.用語解説
注1 サイトカイン:主に他の細胞から分泌されて、細胞の表面の受容体に結合することで細胞を維持したり、増殖させたりするタンパク質。不足すると細胞は生存できない
注2 造血幹細胞:哺乳動物の成体では骨髄に存在している数少ない細胞で、細胞分裂することで生涯にわたって血液を供給している。
注3 ミトコンドリア:細胞内の小器官の一つ。クエン酸回路と電子伝達系という2つの代謝経路を用いて最終的に酸素を利用して細胞に取り込んだ栄養素を水と二酸化炭素に分解してATPを作る。
注4 SDHAF1:電子伝達系の中でも複合体IIと呼ばれるコンポーネントに含まれるタンパク質で、コハク酸脱水素酵素(SDH)複合体の組み立て(Assembly)を補助する因子(Factor)の略語。
注5 ATP:アデノシン三リン酸のこと。細胞で必要とされるエネルギーの多くはATPを分解するときに生じるエネルギーで賄われる。
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